十数年前のある日、イニシエーションを受ける機会を得て、横浜からほど近い緑の丘を登り、会場へと向かった。
重厚な木製の扉を開けて部屋に入ると、すでに何人かの人がいた。
ほどよい緊張と期待と興奮の中、静かにイニシエーションが始まる。
高次元からのエナジーで調整を受けた人は心の奥深くから感情が動くのか、涙を流す人や、倒れるように横になる人など様々で、エナジーの状態によって個々に対応がなされていた。
そして調整が終了した人は、清々しい顔で緣に挨拶して退出していく。
自分にはどんな変化が起きるのだろう、と楽しみもありつつ、緊張が高まる。
いよいよ自分の番になった。
促された場所に横になり、目を閉じる。
頭と足元に人の気配がする。
やがて全身がポカポカし始め、特に腹部のあたりのエナジーが動いている感じがした。
やがて終了の合図があり、立ち上がる。
ビジョンが見えるとか、高次からアクセスのメッセージも特になく、思ったよりもあっさり終了。
イニシエーションが終わり縁ちゃんとのハグを楽しみにしていたのだが、
なぜか思うように歩けない。
なぜ身体に力が入らないのだろう、と思ったのも束の間、
突然の腹痛で、立っていられないほどになってしまった。
最初、緣ちゃんはハグしてくれようとしていたが、お腹が急に痛くなった事を伝えると、そばのイニシエーターに介添えするよう、声かけしてくれた。
そうして数人に支えてもらいながら、そろりと部屋を出る。
廊下の脇に置かれている木製のベンチに、やっとの想いで身を横たえる。
誰かが、そっとブランケットや上着を掛けてくれ、そのあたたかさに感動した。
私は横になり痛みに耐えながら、頭の片隅でどうやって帰ろうか、と考えていた。
タクシーは高額になるだろうし、終電までに動けなかったら?など不安がでてくる。
その時、ふとこれは古の一部なので、大丈夫だ、と思った。
腹をくくって高次に委ねることにする。
すると少しずつ、痛みが引いてきた。
その時、全員のイニシエーションを終えたdozenが部屋を出てきた。
ゆっくりなら動けるようになっていたので、dozenのそばに寄り、どんな調整が起こったのか尋ねた。
『ああ、お腹切っとったで』
と、緣ちゃん。
そりゃ痛いわ!と思いつつ、どういう事だろう?と疑問に思い、
「あのぅ、切った、というのは?」とさらに尋ねる。
『霊的手術やな。いらんもん取り除いとった』
と聞いて妙に納得した。
そして帰路に向かう頃には、すっかり痛みが引いていたが、
数日、様子を見て無理はしないように、とのことだった。
その翌日は、すこぶる体調がよく、普段どおりに出勤した。
更にその夜、職場の歓送迎会に参加し、腹痛のことなどすっかり忘れてお腹いっぱいご馳走を平らげた。
ところが、翌朝になると、何かにつかまらないと立っていられない程の腹痛が再び。
仕事先に休みの連絡を入れると、暴飲暴食でしょ、と笑われた。
身動き取れないほどの痛みがあったが、手遅れになっては困るので、病院に向かうことにした。
近所の病院まで普段は徒歩5分ほどだが、30分近くかかってなんとか辿り着いた。
なぜ救急車を呼ばなかったのか、と叱られつつ、診療してもらう。
診断結果は、結石だったが、その病院では処置が難しいとのことで、すぐに他の病院に運ばれた。
(救急車が出払っているらしく、病院の車で運んでいただいた)
その場で入院することになり、病床の準備をしてもらう間、点滴を打ってもらっていた。
そして点滴が終わり、お手洗いに行った時に、腹痛の原因となっていた石がすべて自然に出てきた。
その事を看護師さんから先生に伝えてもらい、再度診察へ。
小さな石は体内にまだ少し残っているが、水分を多めに採っていれば問題ないとのこと。
あのまま放置されていたら、内臓にダメージがあったであろうこと、自力で排出できたのは幸いだったことなど話された。
結局、入院はせずに自宅へ戻り、夕方には普段の生活に戻っていた。
腹痛時には、イニシエーションのことを忘れていたが、後から思うと、体内から不要なエナジーを排出するのに、活用されたのだと思う。
それにしても、あまりにも、のタイミンクだった。
【石】には、頑固という意味合いもある。
私の課題は、怒りの感情を溜め込まないこと、不要なもの手を放すこと。
通り道をふさぐ障害物を放置すると、必要な浄化を妨げて、悪循環が起こる。
循環がスムーズになされているか、自分では気づけない場合、どうするのか。
物事のシンボルを読んだり、高次元の存在に近づくことがどれほど自分の助けになるか。
あの3日間で、私は高次元の存在達の愛の深さ、探究の重要性を痛感した。